日本を代表するかつらメーカーの一つ「アデランス」が2017年2月10日付で東京証券取引所の上場を廃止しました。
かつら業界の競争激化に対応するため、投資ファンド「インテグラル」の子会社を通じてMBO(経営陣による自社買収)で非上場化し、事業基盤の強化を急ぐこととなります。つまり、経営再建のための非上場化ということです。
MBOって何?
MBOとは、Management Buy-Outの頭文字。
企業の経営陣が、その企業の経営権を取得することを目的として株式を買い取る企業買収方法の手段。株主から企業を買い取って独立させるなど、事業再編の一環として行われることが多い。
アデランスのかつらはなぜ売れなくなったのか?
アデランスの2016年3~11月期の連結決算は11億円の赤字でした。
昔は薄毛(ハゲ)対策と言えば、アデランス、アートネイチャーのかつら。もしくは育毛サロン「リーブ21」。なんて言われていました。というか、大々的にテレビCMを行っているのがこの三社くらいだったので、世間の人もこの三社くらいしか知らなかったんですよね。
それが、AGA治療薬「プロペシア」が日本で承認されて以降、徐々にAGA(男性型脱毛症)の認知度が高まり、AGA病院も増え、
AGA(薄毛)は病院で治療
という認識を持つ人が増えてきました。
それに伴い、従来の育毛サロンはお客さんが激減。育毛ケアにも力を入れていたアデランスやアートネイチャーは、AGA治療と差別化できるかつら・増毛により一層力を入れていきます。
ヘアケア市場全体で言うと、AGAが広まったことで植毛市場や育毛シャンプー、育毛剤などの市場が好調となり、かつら市場も毎年わずかながらも拡大傾向にあります。AGA治療で行う「発毛・育毛」と「増毛(かつら)」は異なるアプローチの薄毛対策なので、それぞれ共存が可能です。
「発毛・育毛」が向いている薄毛の人もいれば、「増毛(かつら)」が向いている薄毛の人もいるからです。
というわけで、「増毛(かつら)」業界は安泰かと思いきや、やっぱりAGA治療へ流れる人が多く、男性用かつらの売上は減少傾向。
その代わり、女性用かつらが順調に売上を伸ばしています。
女性用かつら戦国時代
アンチエイジングの言葉と共に、白髪隠し・髪のボリュームアップを求め、おしゃれへの関心が高い60~70代の女性のかつら利用が増えています。アデランス、アートネイチャーなどの各かつらメーカーは、女性をターゲットに新商品を投入。
女性用かつらはオーダーメイドかつらよりも、より簡単に装着できるウィッグやつけ毛などが人気で、アデランスの女性用既製品かつら「フォンテーヌ」も男性用のオーダーメイドかつらの売上を大きく上回ります。新たに開拓した女性向けかつら市場ですが、アデランスは徐々に新規顧客の獲得ができなくなっていきます。
理由はライバル会社との競争激化。
女性かつら市場には、老舗のかつらメーカーだけでなく、通販会社や美容院、大手製薬会社などが異業種から次々と参入。それによって価格競争が起き、低価格の既製品かつらや格安ウィッグが登場。従来通り高額高級品路線だったアデランスから顧客は安い方へ流れていきます。
アデランス、復権への道
上場廃止して経営再建となったわけですけど、上場廃止することで経営再建できるってどういうことなんでしょう?
上場廃止のメリット
外部の人(株主)の顔色をうかがう必要がなくなるので、思い切った経営改革ができるのがメリットの一つ。事業再編などをよりスピーディーに進めやすくなると言われています。
上場廃止によって投資家からの資金がなくなりますが、今回のアデランスの場合は、投資ファンドが資金を提供し経営陣がそのまま指揮をとって経営再建に望む模様です。
再建のためにマーケティングを見直す!
上場廃止して経営再建となったアデランスですけど、再建のために次のようなマーケティングの見直しを考えているそうです。
ネット経由の集客
高額オーダーメイド品をテレビCMで広めて新規顧客を獲得する戦略から、今後はテレビだけでなく、ネット経由の集客にも注力する。
アフターケア拠点、人員の増加
他社製品のアフターケアなども行い、アフターケアできる場所も増やす。
低価格帯の女性向け新増毛商品を開発
これまで女性向けでは手掛けていなかった増毛商品も始める。60~70代の女性だけでなく、毛髪関連商品のバラエティを増やすことで、髪に悩みを抱える40~50代も取り込みたい。
AGA治療でもそうですけど、ちゃんと悩みに応えてくれるモノで、しかもコスト的にも納得できるものならみんな喜んでお金払います。
薄毛に悩んでいる人の望みはただ一つ。
薄毛が改善すること!
増毛、かつらを希望する人であれば、
薄毛であることが絶対バレないこと!
何かとコストパフォーマンスが叫ばれる時代ですから、そう簡単に「はい、わかりました。」とは契約しませんよね。
特に女性の場合は、薄毛隠し・白髪隠しだけでなく、おしゃれ目的でのかつら・ウィッグの利用もあるでしょうから、オーダーメイドの豪華一点モノの購入を狙うよりも、バラエティ豊かな商品の中から好きなモノをチョイスできて、しかも短期間で交換していくみたいな形の方がいいんじゃないでしょうか。
美容室とかネイルサロンに行く感覚でかつらをチェンジするみたいな。その時の気分で組み合わせることができる定額プランとかね。
選べる。
組み合わせられる。
って女性が好きなキーワードじゃないですか?日々のかつらライフにプラスアルファの楽しみを。みたいなね。
あとネットは必須です。当たり前ですけど、今後はネットリテラシーの高い老人が増え、ネットで自分から情報を求めるのが当たり前の世代になりますから。
毛髪再生医療はどうしたの?
偉そうに色々言ってきましたけど、女性のかつら事情とか実際あまりよくわかっていません(汗)すいません。。。
ただ、間違いないのは、うちのかあちゃんやその周辺のおばあさんたちを見てる限り、女性はある程度の年齢になると白髪隠し・分け目薄毛隠しのウィッグは必需品だってことです。毛染めしていても、毛が伸びれば根元がまた白髪になっていきます。根元の白髪のせいで、分け目部分の頭皮と白髪の境界線がわからなくなり、遠目から見るとハゲているように見えるんです。
この分け目を気にしている人が多いです。いちいち染めるもの面倒臭いから、出かけるときにちょっと分け目部を隠せるかつらが欲しいなあってわけです。
ちょい隠しレベルでいいんです。
高級かつらじゃなくていいんです。低価格帯ウィッグがあればそれでオッケー。気持ちは理解できます。
とにかく、女性向けかつらに関しては、アデランスの粋を集めて新商品を開発してもらうこととして、
あの話どうなっています?
もう6年くらい待っているんですけど…。
「毛髪再生医療への参入の件」です…。
「JIGAMI」という商品名ですでにヒトを使った臨床試験に突入し、早ければ2013~14年をメドに実用化を目指すというニュースが2010年に流れました。その後、2015年頃に当初の見込みよりも計画が遅れ、市場への投入がずれ込んでいるいる状態だという続報が流れて以来、情報がありません。
もう臨床試験のフェーズ3、最終段階まで進んでいるんでしょ?
まさか諦めるとかありませんよね?
あきらめたらそこでゲーム終了ですよ?
起死回生のコンテンツは毛髪再生医療しかありません!
他の企業に先駆けて毛髪再生医療を実用化できれば、今のAGA治療では薄毛を改善できない悩める薄毛人達に夢と希望と毛髪を与えることができ、しかも経営再建の大きな足がかりとなるはず!
がんばれ~アデランス!
参考:http://toyokeizai.net/articles/-/140518
参考:http://bhn.jp/special/49124