ミノキシジル内服治療と言えば、AGAの専門治療を行う病院では当たり前に行われているスタンダードな治療ですが、2017年版の男性型脱毛症診療ガイドラインでまさかのD判定「行うべきではない」という評価が下されました。
これを受けて、すでに治療している患者さんはもちろん、これから薄毛治療をしようか検討している人も大混乱。そりゃそうですよね。有名なAGA病院のほとんどが処方しているミノキシジル内服薬がダメだっていうんですから。
本当にミノキシジル内服はやめた方がいいのでしょうか?個人的な感想としては、やめる必要はないんじゃないの?って思います。
理由は以下。
- 今現在ほとんどのAGA専門病院で処方されている。
- 日本でトップクラスの症例数をほこるクリニックで処方されている。
- 治療実績豊富な医師達が問題があるものを処方するかな?
- すでに10年以上処方され続けている。
- 男性型脱毛症診療ガイドラインを作る際に、ミノキシジル内服を処方している病院の医師達から実際の臨床について意見を聞いたりしたのか不明。
どちらにせよ、専門知識のある医師の下、適切な説明を受け、副作用の危険性などをしっかりと認識し、健康診断、副作用のチェックを受けた上で使用されるべきお薬だということは間違いありません。
ガイドラインにしても、国内未承認のお薬なので行うべきという判断は下しにくいというのは十分理解できます。個人輸入で安易に入手する人も多いお薬ですからなおさらですよね。でも、AGA治療業界全体の共通認識の下ガイドラインを出してくれないと、患者側は混乱します。何とかしてください。
ミノキシジル内服薬ってどんな薬?
ミノキシジル内服薬は、プロペシア(フィナステリド)と違って国内未承認薬です。そもそもAGA治療薬として承認している国はありません。
元々高血圧の経口薬として用いられていましたが、副作用で全身の多毛症が引き起こされることがわかり、頭皮に対して外用薬としての臨床が実施され、脱毛症に有効だと発表されました。
リアップでお馴染みのミノキシジル外用薬は、2010年版・2017年版、両ガイドライン共に推奨度A「行うよう強く勧める」です。
ミノキシジル内服の効果は?
ガイドラインでも行うよう強く勧めると推奨されているミノキシジル外用薬は、もともと内服薬を元に作られたということもあり、内服薬の方がより高い発毛効果が出ると言われています。
実際に治療した患者さん、治療医師達にお話を聞いても、ミノキシジル内服は非常に高い発毛効果を得ることができるという答えが返ってきます。具体的には、血管拡張作用、毛乳頭細胞・毛母細胞の活性化作用があると言われています。
ミノキシジル内服の副作用は?
効果が高い分、ミノキシジル外用よりも副作用が強力だと言われています。
一番有名なのが全身の多毛。もともと多毛の副作用が出たため薄毛治療に用いられるようになりました。頭髪だけでなく、全身の毛が濃くなります。お会いした患者さんのほとんどが実感していた副作用ですね。腕や手の甲、指毛が濃くなるイメージがありますが、毛の濃さや濃くなる箇所人それぞれ個人差があります。もともと薄い人は濃くなったといってもそこまでじゃない印象でした。
ちなみに、上の写真はミノキシジル内服治療をして2年経過した人の腕毛です。元々薄い方でこれでもかなり濃くなったとおっしゃっていました。ある程度濃くなったらそこからはミノキシジル内服を飲み続けても状態維持みたいです。
あとは、もともと高血圧用のお薬なので、血管拡張作用による頭痛や、低血圧、カラダのダルさ、動悸や不整脈、重篤な場合だと心不全など心臓系の危険な副作用もあるとされています。
ただ、AGA治療で処方される1日の摂取量は2~8mg程度で、高血圧治療薬として処方されていたときの5分の1以下と圧倒的に少量。しかも問診や事前の健康チェックにて、処方が可能と診断された健康な人への処方となるので重い副作用は出にくいと言われています。
病院に取材しても、全身の多毛の副作用は報告されているが、それ以外の副作用はほとんど報告がないとの回答を頂きました。
高血圧関連のお薬と同時服用はダメです。
ミノキシジル内服って処方してもいいの?
某掲示板にこんな投稿がありました。
病院の先生にミノキシジル内服をすすめられた。
ネットで調べると日本皮膚科学会の診療ガイドラインで推奨度D「行うべきではない」とされていた。「行うべきではない」というものをすすめてくる病院が信じられなくなったし、そもそも処方してくることに問題はないの?
そりゃそうなるのよね。混乱するって。
日本未承認薬ですが、医師が処方しても問題ありません。病院から処方してもらう以外にも、個人輸入で海外入手することができます。
AGA専門病院、AGA専門の外来がある病院のほとんどで処方されています。
なぜミノキシジル内服は行うべきではないって評価になったの?
何で10年以上も多くの病院で処方され続けてきたミノキシジル内服薬に、「行うべきではない」という評価が下されたのか?
詳しくは2017年版男性型脱毛症診療ガイドラインページに書いたのでそっちを見て欲しいんですけど、ガイドラインは日本皮膚科学会と毛髪科学研究会というところの共同事業で作成されています。毛髪疾患に詳しい医師達が中心です。書籍を出すなど薄毛関連で有名なお医者さんもいらっしゃいます。
推奨度の根拠は主に以下の点を重視して決定されています。
- 医学会で発表された論文や臨床試験の結果など、科学的エビデンスがあるもの。
- エビデンスが不足しているものに関しては、医師個人の見解。
科学的なエビデンスが不十分なものは推奨しにくいってわけですね。
日本未承認だから
ミノキシジル内服の問題点は主に以下のふたつ。
- 日本で認可されていない。
- 医師が安易に処方したり、一般人が個人輸入で入手し服用することがあるので、医薬品医療機器等法の観点から問題視。
国が認めていないものを大々的に推奨するとは言いにくいですよね(汗)
そもそも認可されていないものなので、臨床試験とか科学的なエビデンスなども少ないのでしょう。エビデンスが不足している場合は専門医師達の見解をふまえて決定しているということですが、国内で最も薄毛治療の症例数を持っているであろう銀クリやヘアメディカルから臨床に関するデータなどは提供してもらったりしたのでしょうか。データ提供まではなくても、意見交換とかもなかったんですかね。
国内で誰よりも薄毛の患者さんと接している病院の見解がちゃんと含まれて決定されているのかナゾなんですよね…。
もし含まれているならば、ダメって思うものを処方するな!って話になりますもんね。有名AGA病院の医師達は今回の結果をどのように考えているのでしょう。聞いてみたいところです。
個人輸入して安易に使おうとする奴が多い
現在のAGA治療の主流はフィナステリドとミノキシジル内服のセット治療。
病院だと1ヶ月分で大体2万円以上します。
毎月となるとキツいですよね。
というわけで、個人輸入でゲットして勝手に服用している人がメッチャ多い。ある程度病院での治療を経たベテランならまだしも、一度も病院の診察を受けたことがないのに、ネットの情報だけで個人輸入で薬を服用する人なんかもいたりします。
やめてください。
AGA治療薬は副作用の危険性が高い薬なんで、素人判断で服用すると健康被害のおそれもあります。
特にミノキシジル内服は服用量によっては副作用の危険大。医師の指導もなく服用するのはかなり危険です。
これはどの医師に聞いてもみなさんおっしゃいます。
「超危険な行為なので、絶対にやめてください!」
って。
効果がいまいちとか勝手に判断して含有量をアップする人もいます。ネットでは1日10mgまで平気とか言っている人がいますけど、それって人によりますからね。10mgって結構高い含有量です。いきなり服用したらカラダへの負担がかなりデカい。
銀クリなどのAGA専門病院は、カラダへの負担を少なくするために最初は低い含有量のものから処方して徐々にに慣れさせていくなどの対応をしています。
薬の量を増やせば効果が増えるわけではありません。逆に健康を害する可能性もあるので注意が必要です。
こんな人が多いので、効果あるよとは言いにくい状況なのもわかります。
ただ、フィナステリドを個人輸入で入手している人もいますけどね。こっちも同じように問題だと思いますけど、承認されている薬だからスルーなのでしょうか…。
安易に処方する医師
安易っていうのがどういうレベルの状態を指すのはわからないんですけど、AGAのことをよく知らなかったり、ミノキシジル内服のことをよく知らない医師が、とりあえず処方するような状態を防ぐという意味なのでしょうか?
最近はAGA治療を行う病院が増えて、それに伴いAGA治療のことをよく知らないまま診察してません?って思うような医師が増えてきたのは実感として感じます。個人輸入で買える薬を、何の説明もなくパッケージもそのままで処方され唖然としたことも確かにありました。
生えるという情報だけで、副作用のリスクなども把握せず、患者への説明責任も果たさずに安易に処方する医師がいないとも限りませんから、そういう意味でも注意が必要であることは間違いありません。
以上のようなことをつらつら考えていくと、注意喚起の意味を込めて現状はD判定にせざるをえない感じもわかりますけどね。
そもそも国内で承認されていないものをD以外にしづらいのはわかります。
でも現状との乖離が大きすぎるんで、患者側が混乱します。
2017年版を作る際に、これだけ普及してみんなも知っているのにミノキシジル内服をスルーするのはおかしいという判断があったんでしょうけど、せめてC2判定(行わないほうがよい)とかにできなかったんですかね(汗)注意書きで医師の説明を受けるべしとかにしておくとかね。
で、行うべきかどうかの結論は…。
自己判断ですね。
自分でしっかり判断できるようになるためにも、判断材料を与えてくれる病院、医師選びは重要になります。病院や医師も今まで以上に治療や薬に対する説明が必要になってくると思います。
病院側も患者側も副作用などの危険性を十分認識した上で処方の同意を結び、事前の健康診断、副作用チェックなどをしっかり行った上で使用されるべき薬だと思います。